プラスチックが環境に及ぼす被害については、誰もが耳にしたことがあると思います。私はKEENヨーロッパの「Better Takes Action boat tour 」に参加し、アムステルダム、ハンブルク、ミュンヘン、ロンドンの水路からプラスチックごみを回収しました。引き上げたゴミは合計で119kgありました。ヨーロッパ各地に広がる水路のほんの一部ですが、少しでも助けになることが大切なのです。
KEEN Europe Ambassador Cal Major
<これは、2019年8月の記事を翻訳したものです。>
この問題に取り組む責任は一人の人間にあるのではなく、私たちみんなが力を合わせて取り組まなければなりません。私たちは誰もが変化を起こせる力を持っていて、一見小さく見えるあなたの貢献は、あなたが思っている以上に社会に大きな影響をもたらす可能性があるのです。
プラスチック汚染に取り組むための2つのアプローチは、環境の浄化と、発生源を失くすこと。私は完全に使い捨てプラスチックを使わない生活をしているわけではないですし、それを実現するのは今のところ非常に難しいと思います。消費者だけで解決できる問題ではないからです。しかし私はできるだけプラスチックを使わないようにしていますし、できるだけプラスチック包装されていない製品を買っています。また家を出るときに必要なものは何かを考え、それを持っていくことで、私たち自身が作り出してきた使い捨て文化に巻き込まれないようにしています。
私は、全体像を見て、個々のプラスチックを減らすだけではなく、世界的な動きとして捉えることが大切だと思っています。プラスチックの使い捨て消費を減らすことが、地球だけでなく、私たちの健康、経済、精神状態にとっても有益であると私が考えるいくつかの重要な理由があります。飲み水をマイボトルで持ち歩いたり、ストローなしのドリンクを頼んだり、食料品を包装していないお店で買い物をするなど、使い捨てプラスチックへの依存度を減らすことで得られるメリットは、当初考えられていたよりもはるかに大きいかもしれません。
使い捨てプラスチック問題が重要だという10の理由
1.海のプラスチックを減らそう。
私たちが「NO」と言って減らせるプラスチックの一片一片が環境や海に流れ込み、生き物を傷つけることはもうありません。海のプラスチックの80%は陸上で発生していますが、陸上で使う量が減れば減るほど、海への廃棄量は減っていきます。
2. 積極的に行動を広めましょう。
あなたがそのプラスチックを拒否することで、他の誰かも同じように行動するようになるかもしれません。一人の人間が与える影響は小さくても、地球上に住む数十億人の人々にまで広がると、突然、私たちは大きな影響を与えることになります。
3. より良いものへの需要を作ろう。
私は、責任の所在を個人だけに押し付けるべきではないと思っています。また地球の健康を犠牲にしてプラスチック製品を販売して利益を得ている企業は、現在ほとんどの企業が行っている以上の責任を負うべきだと考えています。しかし企業を存続させている私たち消費者からの圧力がなければ、そうはいかないでしょう。ですから、不必要な使い捨てプラスチックに反対する姿勢を取り、それを拒否し、この危機に真剣に取り組んでいるところでお金を使うことは、これが顧客にとって重要なことであり、真剣に取り組み始める必要があるという明確なメッセージを企業に送ることになります。
4. お金の節約になります。
水道水の値上げで私たちはペットボトルの水にかなりの金額を支払っています 。ほとんどのコーヒーショップは、マイカップ持参の人に割引を提供しています。週に3杯のコーヒーを飲んだ場合、マイカップを持っていくだけで、1年間で約80ポンドの節約になります。包装された食べ物を外で買う代わりにお弁当を持っていくとお金の節約になるし、マイバッグを持っていけば、こうした小さな料金も節約できます。
5.ステップ一つひとつが、考え方の変化につながります。
私たちは、プラスチックを使わずに生活する方法を考え、使い捨て文化への依存を見直さなければなりません。これはプラスチックに限ったことではなく、使い捨て文化全体に言えることです。すべての使い捨て素材は跡を残します。私たちの便利さや快適さの代償は地球が支払っているのです。その製品が不要なら、私たちはその製品との関係を変える必要があります。
6. お財布で投票しよう。
消費者である私たちが最も影響力を発揮できるのは選挙です。そしてお財布を使って投票することです。最近モルディブに旅行に行ったとき、使い捨てプラスチックをやめたリゾートホテルに、その理由を聞いてみました。ホテルの経営者は正しいことをしたいという気持ちがあり、宿泊客にプラスチックを使わないでほしい、責任を取ってほしいと思っていました。自分の苦労して稼いだお金は、こうしたことを気にかけているところに使い、正しいことを行っている企業を支援し、それが自分にとってどれほど重要なのかを知ってもらいましょう。ここに、消費者としての私たちの強みがあるのです。
7. プラスチックは健康に有害です。
私たちの生活の中にあるプラスチックがどの程度私たちに影響を与えているのかはよくわかりませんが、ある種のプラスチックは発がん性があり、有害な化学物質を含んでいることが証明されています。これに包まれた食品を消費したり、これが含まれる水を飲んだりすることも、私たちの健康を害する可能性があります。私たちは地球から切り離されているのではなく、地球の一部であり、私たちの健康に影響を与えているものが、地球にも影響を与えようとしているのです。
8. 罪悪感を避けましょう。
私たちは自分の行動が自身の価値観に合わないとき、不快に思うし楽しくないですよね。不安や罪悪感を打ち消すのに必死になります。でもこうした心理状態で課題に取り組んでも、あまりうまくいきません。私はいつも、プラスチックを使うことに罪悪感を抱くのではなく、自分たちにできるプラスの影響に自信を持つようにしていますし、それを皆さんにも勧めています。自分の価値観を大切にすれば自信や誇りが自然に育まれて、行動と信念が一致しないときの自己矛盾を避けることができます。
9. 現状を変えましょう。
私たちは、生活の多くをこれまで何度もやっているのと同じことを自動操縦のように繰り返すことに費やしています。なぜなら、それがこれまでの常識だからです。そんな私たちの行動について考え始める時が来ました。より意識的に、心を込めて生活し、さらには私たちが購入している製品や私たちが使用しているプラスチックに興味を持つことは、常識だと思われている状況を変える一歩になります。
10. 実践すると気持ちがいい!
何かポジティブなことをするのは本当に気持ちがいい。このプラスチック汚染の危機の中で、私たちはみんな何かポジティブなことをするための強み、力、能力を持っています。ある人にとっては新しい政策を作ることであり、ある人にとってはビーチをきれいにすることです。私たち全員にとっては、不必要な一回限りのプラスチックを可能な限り他のものと取り替えることです。そして、それを誇りに思うことです。懸念を行動に変えることができます。私たちにできることがあると感じさせてくれるのです。