旅先に気持ちのよさそうなトレイルや遊歩道があれば、ちょっと散策してみたくなるもの。そんなときに大活躍しそうな「OURAY LT(ユーレイ エルティー)」が新登場!
あのハイカーズデポ・土屋智哉さんがディレクション!
OURAY LTは2色展開。右がToasted Coconut/Keen Mapleで、左がBlack/Magnet
このOURAY LT、じつは“日本発”の新モデル。ディレクションは東京・三鷹のアウトドアショップ「ハイカーズデポ」の土屋智哉さんが行っています。ウルトライトやロングディスタンスハイキングの専門店だけあって、OURAY LTには軽く自由に歩くための機能がいくつも搭載され、どこかクラシックなデザインもよい雰囲気です。
ここでは土屋さんと公私ともに付き合いが深いアウトドアライターの高橋庄太郎さんが、土屋さんとともに南伊豆へ。OURAY LTの履き心地を試しながら、その機能性やデザインについて語り合いました。
右/土屋智哉 東京都三鷹市に店舗を構える「ハイカーズデポ」店主。“ウルトラライトハイキング”の考えを日本で広め、ときには数百キロ以上にもなるロングディスタンスハイキングを毎年のように実践している。著書に「ウルトラライトハイキング」(山と溪谷社)がある IG:@hikersdepot
左/高橋庄太郎 山岳アウトドアライター。土屋さんとは山歩きのみならず離島への遠征や川下りなどもいっしょにする仲で、土屋さんとの共著に『“無人地帯”の遊び方』(グラフィック社)がある IG:@ shotarotakahashi
“トラベルトレイル” の面白さをアップする新シューズ
高橋「おおっ、これが、ツッチー(土屋さんのこと)がアイデアを出して生まれたというOURAY LTか! そもそもどういうコンセプトで作られたシューズなの? 」
OURAY LTはローカットモデル。「LT」にはLIGHTとLONG TRAILの意味がかけられている
歩き始める前に、ふたりでOURAY LTを改めてチェック
土屋「KEENはここ数年“トラベルトレイル”という歩き旅の楽しみ方を提唱しているんだけど、このOURAY LTもその流れに沿ったシューズ。タウンユースでもアウトドアでも使えるような機能性を持たせ、老若男女、だれが履いても心地よいものを目指したんだよ」
高橋「とはいえ、ツッチーが一からデザインしたわけではないでしょう?」
土屋「さすがにそれは、ね。じつは、元となるモデルは2005年くらいにKEENが販売していた“OURAY”というシューズ。それを母体に、他の素材やパーツをピックアップしながら細かく変更していくことで、理想的なものに近付けていった。たとえば、アウトソールは以前展開されていた“ワサッチ クレスト ベント”と同じ。地面に接したときには柔らかなのだけど、足が弾かれるような無用な弾力性はなく、しっかりと“地面を踏める”アウトソールでね。これが今回目指していたシューズにちょうどよかったのさ」
アウトソールのラグは浅めで土がこびりつきにくく、アスファルトの上でも柔らかな感触
あえて防水性を省き、蒸れやすさを軽減
高橋「ほう~。ところで、このアッパーは防水性なの?」
土屋「その点はどうするか、迷ったんだけどね……。結局、水濡れへの対応よりも蒸れ防止のほうを主眼にして、ナイロン素材に。ただ、メッシュだと砂やほこりが入ってきやすいから、織りの密度が高い生地を選んだよ」
アッパーは破れにくいリップストップ。撥水性も持たせている
高橋「なるほど。この素材なら通気性を確保していても、涼しい季節でも足が冷たくならないだろうね。で、そのアッパーのカラーは2色展開になっているんだね」
土屋「定番的な黒に加えて、茶系のアースカラーバージョン(Toasted Coconut/Keen Maple)は、うちの店とのコラボカラー。うちの店のテーマカラーでもあるグリーンも、かかとにワンポイントで使われていたりして」
かかとのマークへの配色は、ハイカーズデポのテーマカラーであるグリーン
インソールにはハイカーズデポのロゴも入れられている
高橋「あれ!? よく見ると色だけではなく、一部の素材も違うのでは?」
土屋「ランドの部分、黒はシンセティックなんだけど、茶系のほうはスウェードになっている。天然素材じゃないと微妙な色が出せなかったんだよ。それにスウェードのほうが強度も上がるみたいだったから」
ナイロンアッパーとソールの間に使われている素材の質感に注目
高橋「さすが、細かい部分にもこだわってるね!」
土屋「いやいや、このへんで説明はいったん終わらせて、あとは実際に歩いて感想を聞かせてよ」
ソフトでいて滑りにくい、独特の歩き心地
ふたりは伊豆半島最南端、観光地でもある石廊崎付近の「南伊豆歩道」へ
温暖な伊豆半島では、秋以降も緑が美しい
高橋「へぇ~、たしかに柔らかい履き心地だ! それにそれほどミッドソールが厚くは見えないのに、クッション性もなかなかいい」
ミッドソールの見えない部分には、安定感を高めるシャンクが入っている
土屋「歩行中の衝撃は吸収しつつも、過度ではない弾力性を考えた。これなら不安定さは感じないでしょう? 弾力性がありすぎてフカフカしすぎると、バランスが悪いから」
高橋「それと意外だったのは、アウトソールの滑りにくさ。どちらかというと平面的なアウトソールだから土の上ではズルっといきそうなのに、しっかり歩けるね」
OURAY LTのアウトソールは前後左右、全方向にスリップしにくい
土屋「もちろん雨のあとのようなドロドロの場所では限界があるけれど、乾いた場所なら十分だと思うよ」
高橋「土の上でこれだけ歩ければ、街中では余裕だね」
柔らかな地面の上でも、OURAY LTのアウトソールはしっかりと土を噛む
太平洋を見下ろす絶景のトレイルは、柔らかな草や土で覆われ、気楽に歩ける
十分なグリップ力で、少々の岩場なら難なく歩ける
土屋「自然のトレイルには岩も多いものだけど、そういう場所ではどうだった?
高橋「雨水に濡れていたりしなければ、これで充分だよね。もともと“旅の延長で履くシューズ”がコンセプトだから、高山での登山は想定していないだろうし」
乾いた岩の上でのグリップ力は上々。じつに安定感がある
土屋「つま先にはキーンのシューズの特徴であるつま先を守る機能「トゥ・プロテクション」もつけられていて、岩に足をぶつけてもちょっとのことでは怪我をしないようにしているよ」
高橋「でもOURAY LTのトゥ・プロテクションは、もしかしてちょっと小さめ?」
土屋「そう、少し小さめにした。このシューズの用途を考えれば、これくらいがちょうどいいはずだよ」
少し小さめのトゥ・プロテクションは、つま先の保護力と軽量性のバランスがいい
たくさんの石が転がっているようなトレイルでも問題なく歩いて行ける
岩場だけではなく、木の根がはびこった道でもOURAY LTの安全性は高い
高橋「それと、長く歩いていてもシューズ内部での圧迫感が少ないのはいいね」
土屋「もともとKEENのシューズのひとつの特徴は、内部スペースにボリュームがあって、窮屈さや拘束感が少ないこと。といっても、かかとの位置が内側でずれるようでは困るから、かかと部分が低くなり過ぎるような形状は避け、かかとが浮くことはない形状にしたんだ」
足首周りの丈を見ると、左右はかなり低いのに対し、後側は少し高めにデザインされている
シューズの緩みにも配慮したシューレースの工夫
高橋「しかしさ、歩いているうちに少しフィット感が緩んでくるような気がしなくもないな。これは防水性のシューズと違って、OURAY LTのアッパーには非伸縮性のメンブレンが併用されていないから、生地がちょっと伸びちゃうのかな?」
土屋「まあ、そうだね。多くのトレイルランニングシューズと同じで、これは防水性がないシューズの宿命みたいなもの。だから少し歩いたあと、いったん靴紐を締め直してもらうと履き心地が向上する。さらにフィット感を高める工夫としては、ヒールロックもできるような位置にシューホールをつけたので、緩みが気になる人はこの結び方を試してほしいよ」
靴ひもの締め直しが、心地よいフィット感を保つ秘訣
足首部分のシューホールは左右ともに2つ。これにより、写真のような“ヒールロック”という緩みにくい結び方ができる
“どこでも行ける”応用力の高さがうれしい!
高橋「さて、山中から集落に出てきたけれど、アスファルトの上だと、OURAY LTの柔らかい履き心地がより際立ってくるね」
土屋「山から街中、街中から山みたいな歩き方をイメージしたシューズだから、熊野古道やみちのく潮風トレイルのような場所に適している。名所旧跡を巡ったり、旧街道を散策したりするときも。山歩きに特化したシューズや普段履きのシューズはいくらでもあるけれど、こういう“どこでもいける”シューズが活躍するシチュエーションも多いのでは?」
南伊豆歩道は、山道と集落をつなげるように続き、景色の変化が多くて歩き飽きない
自然歩道でも車道でも、OURAY LTならボーダーレスに歩いて行ける
古びた木道の上でも快適な履き心地
高橋「難しい言い方だけど、ツッチーの計算通りなのか、良い意味での中途半端さがあって、それゆえにOURAY LTは格段に応用力が高いシューズになっているといえるのかな」
土屋「旅行、トレイル歩き、普段使いと、一足持っていると重宝すると思うよ。オールドスクールでクラシックなデザインは、自分でも気に入っているし、ぜひ多くの人に履いてほしいな」
どちらのカラーを選ぶべきか、あれこれ迷うのも楽しさのひとつ
高橋庄太郎(アウトドアライター)
高校の山岳部で山を歩きはじめ、出版社勤務後にフリーランスのライターに。著書に『トレッキング実践学』『テント泊登山の基本テクニック』など。山雑誌やアウトドア系ウェブメディアでの執筆に加え、近年はイベントやテレビへの出演が多く、アウトドアギアのプロデュースも行っている。
Instagram:@shotarotakahashi
今回ご紹介した商品
メンズ ユーレイ エルティー KEEN x Hiker's Depot(Toasted Coconut/Keen Maple)
メンズ ユーレイ エルティー(Black/Magnet)