ごみゼロ(530)ウィークの週末の5月27日、渋谷から原宿エリアで若者たちがゴミ拾いを行いました。主催したのはSDGs KIDS MOVEMENT、スノーボード選手の高校生・星更沙(ほし・さらさ)さんが代表を務める団体です。
SDGs KIDS MOVEMENT代表でスノーボード選手の高校生、星更沙さん
SDGs KIDS MOVEMENTがこの時期に渋谷でゴミ拾いを行うのは今年で2回目。先だって行われたアースデイ東京2023でもステージでトークイベントを行うなど精力的に活動しています。なぜ高校生で環境団体を立ち上げ、今回のようなイベントを開催するのか、更沙さんに聞きました。
―なぜSDGs KIDS MOVEMENTを立ち上げようと思ったんですか?
2019年にすごく大きな台風がきた時に洪水にあって住む家がなくなってしまったんです。さらにその冬は雪が降らなくて、スノーボードの練習も全然できませんでした。なんで洪水になるくらい大雨がふったのに雪がふらないんだろう?と考えて環境問題にたどりつきました。
その時は団体を作ろうとかは考えていませんでしたが、自分みたいな子供でもできる事ってなんだろうって大学の先生に聞きに行ったら「-2℃っていうタスキをかけてスノーボードをすればいい」って言われて、なにか違う気がして、そうではないできることはないかいろんな人に聞きにいこうと、SDGsについてみんなで考える団体たちあげたんです。
―これまでの活動を通してどんなことを感じましたか?
ゴミ拾いイベントなどでもみんなが「楽しい」って言ってくれて、楽しみながら地球のために役にたてることができていると嬉しい気持ちになります。だれでも、例えばご飯を残さないで食べるだけでも、地球のために役に立つことができます。ムダにしない気持ちを少しでも持ってもらって、今自分にできることを皆さんにもやってもらう。そうすれば未来の地球を守れると感じています。
―今後の目標を教えてください。
海のマイクロプラスチックを買い取って商品にする仕組みをいま作っていて、それを実現する事が今の目標です。
ゴミ拾いは楽しい!
ゴミ拾いイベントのスタート地点はMIYASHITA PARKの芝生広場。こちらにはKEENもブース出展し、KEEN特製!環境ビンゴのコーナーを設置。環境に配慮したアクションや、環境問題の知識や普段やっていることに当てはまればシールを張り、1列揃えばビンゴ!沢山の人に参加いただき、イベント終わりにはシールがたくさん貼られました。
KEEN特製の環境ビンゴ!大人も子どもも楽しんで環境へのアクションを考えました
スタート時間の13時が近くなると参加者が徐々に集まりだしました。親子連れもいれば、学生のグループもいて、にぎやかにスタートを迎えました。
参加者はゴミ袋とトングを受け取り、更沙さんの合図でスタート!今回のゴミ拾いはMIYASHITA PARKをスタートして原宿方面を回り、スタート地点に戻ってくるコースです。まずは明治通りを原宿方面に向かいます。道路上には意外とゴミは落ちておらず、紙くずや吸い殻などを拾いながら進みます。通りを渡って神宮前公園に入ると茂みの中などたくさんのゴミが落ちていました。特に多いのが煙草の吸殻で、「眼の前で捨てられた」と話す参加者もいました。
また「初めて参加したけど、視点が変わって面白い。普段は気にしないことが気になるし、ゴミを見つけられたら嬉しくなる。今後もごみに気づくようになるんじゃないか」と話す参加者も。
今回のイベントは更沙さんと一緒に環境問題に取り組むウィンタースポーツのアスリートの方々も参加されていました。その中のひとりパラアルペンスキー選手の本堂杏実(ほんどう・あんみ)さんにゴミを拾いながら話を聞きました。
更沙さんに誘われてSDGs KIDS MOVEMENTの活動に参加するようになったという本堂さん、ウィンタースポーツ選手としてやはり環境問題は気になるそうです。
「日本でもヨーロッパでも雪不足が起きています。ウィンタースポーツ選手としてはどうして雪が少なくなってしまったのかは気になりますし、環境問題に関心はありました。それに、所属先のコーセーもSDGsに取り組んでいて、そこでも勉強して様々なことに関心を持つようになりました。
昨年のゴミ拾いは予定が合わず参加できなかったんですが、なるべく参加したいと思って予定を合わせて、今年は来ることができました。みんなと考えることができたらと思って先月のアースデイにも登壇しました。
自分が十代のときは、環境とか社会問題なんて考えもしなかったので、更沙ちゃんはすごいなと思います。こうやって周りの人たちにも気づかせてくれるし」。
チェックポイントで学ぶSDGs
今回のイベントでは渋谷〜原宿にあるKEENを含む4つのお店が、チェックポイントとなり参加しました。
各チェックポイントは給水スポットになり、参加者は冷たい水を補給して次に向かいます。ペットボトル飲料を買うのではなく、マイボトルを使うのもゴミを減らすためには大切なこと。最近はまちなかに給水スポットも増えてきて助かりますね。
また、各チェックポイントでは、ちょっとしたイベントも行われていました。
最初のチェックポイントはKEEN GARAGE HARAJUKUです。スタッフ手作りのボードでシューズを長持ちさせる方法をクイズ形式で出題したり、給水もしてもらいました。
2つ目のチェックポイントはBURTON FRAGSHIP TOKYO。こちらは休憩スポットになっていて、みなさん冷たい水を補給して一休み。
チェックポイント3か所目はPatagonia TOKYO SHIBUYAです。こちらでは、手縫いで穴の空いた靴下などを補修する「ダーニング」について勉強しました。ただ補修するのではなく、色とりどりの糸で可愛いデザインを施しながら補修・補強するという手法で誰でも簡単にできるそうです。
4つ目のチェックポイントはFREITAG STORE TOKYO SHIBUYA。FREITAGはトラックに使われるタープをアップサイクルしてバッグなどを作っているブランド。その取組についてショップの方が説明しました。
参加者の中には「ゴミ拾いも大事だけど、こうやって環境問題に取り組む企業があることが知れたのも良かった」と話してくれる人も。
ゴミを減らすこと、物を大事に使うこと、持続可能性に配慮してものを作ることはどれもSDGsの17の目標の一つ「つくる責任 つかう責任」に当てはまります。楽しみながらいつの間にSDGsについて学んでしまう、そんなイベントになっていました。
4つのチェックポイントを回りながらゴミを集め、最後にゴミ集積場で集めたゴミを分別して捨てたら、スタート地点のMIYASHITA PARKに戻ってゴール!参加したみなさんは、ひと仕事終わった達成感と、新しい仲間達、新しい発見と共に、満足げな様子。本当にお疲れ様でした。
アウトドアを楽しみ続けるために
最後にKEENの今回のイベントに対する思いを聞きました。
―なぜ今回のイベントのサポートをすることにしたのでしょうか。
環境問題に取り組んで発信している更沙ちゃんの活動を応援できることはとっても嬉しいこと。そして、まだ16歳という彼女の思いに私たち社員も勇気づけられ、自分達のアクションをもっと推進していこうという原動力にもなります。
自然やアウトドアを楽しんでもらうためのシューズ作っているKEENとしては、自然環境がダメージを受けているとすれば、それを守っていく使命があると考えています。また、次の世代の子どもたちもアウトドアを楽しめるように今、できることをしていくのは大人の責任でもあります。今回、子どもたちと一緒に環境の大切さを学ぶ機会と、それを守るためのアクションができたことは、とても大きな意味を持っていると考えています。
―彼女たちの活動を見ててどうですか。
まず、すごくパワーを感じました。スポーツ選手として活動する中で、雪質の違いを年々感じて、それに危機感を覚えた。そこから周りを巻き込んでいくエネルギーがすごいなと思います。若い人の方が “世界を変えるムーブメントを起こす力” があると感じます。
―KEENから子どもたちへのメッセージがあれば。
自然と触れ合ったり、外遊びをとにかく楽しんでほしいです。自然の中で遊ぶと、それを守っていきたいという思いが自然と湧き上がってくると思うんです。みんなで力を合わせて環境を守りながら、その魅力も発信していきたいです。
今回参加してみて印象的だったのは、更沙さんの言う通りみんなが楽しそうだったことでした。参加者の一人が「これ(トング)を持ってたら無敵になった気がする」と言っていて、実際にトングを持つと何でも拾ってやろうという気になります。みなさんもぜひアウトドアの遊びの一つとして子どもたちとゴミ拾いしてみてはいかがでしょうか?