3月8 日は「国際女性デー」です。女性の権利を守り、ジェンダー平等の実現を目指し、1975年、国連により定められました。KEENではこの日を「ジェンダー問わず誰もが輝く世界を目指す日」と捉え、この日を象徴するミモザの花をアイデアとしたシューズを発売するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。
その取り組みの一環として、3月5日に行われた社員向けセッション。ゲストスピーカーに、女性トレイルランナーで、インストラクターも務める植木 香さんをお迎えし、トレイルランニングやアウトドアにおける女性の“天井”についてお話を伺いました。

植木さんが感じたトレイルランニング・アウトドア現場での“天井”
植木さんが活躍フィールドとしているのは、トレイルランニングやアウトドアの現場。私達が普段生活している街中よりも環境整備の少ない山中です。そこで課題となっているのが「トイレ問題」。男女のグループを引率しトレイルセッションを行った際、引率リーダーという立場上、男性もいる場面でトイレに行くタイミングを図れなかったと言います。女性だけの環境であれば気軽に声を掛けられる状況ですが、山の中であるという環境的要因と、男女で行動すること両方においてのハードルの高さを改めて感じました。
次に課題として上がったのは「男女の走力の違い」。人それぞれ走るスピードに差があるのは当然ですが、男性にレース中に後ろから煽られ、驚く瞬間も少なくないと言います。「声かけのタイミングひとつで、快適なレースへと変化する」と話す植木さん。“女性だから大丈夫、何も言わないだろう”という気持ちからくるものか、レースに夢中になっていることへの証左なのか。深いところはわかりませんが、気持ちの良いレースづくりへの配慮を、お互いに高めていく必要があるのではないでしょうか。アウトドア以外の例として、“駅構内で他人に体をぶつけられる”場面が挙げられると、頷く社員たちの姿が。特別な場面だけでなく、何気ない生活のすぐそばにも見えない天井が立っていることを感じた瞬間でした。
“多くの女性を勇気づけたい”から始まった女性向けトレイルレース「ROUND GIRLS 100」
女性向けトレイルレース「ROUND GIRLS 100」のプロデューサーでもある植木さん。今年も5月23日(金)〜25日(日)の3日間、静岡県富士市の富士山こどもの国を舞台に行われます。女性がプロデュースする、女性だけのトレイルレース。発足のきっかけとなったのは、多くの女性を勇気づけたいという植木さんの強い想いでした。「なんか自分をぶち破りたいとか、なにか切り開きたいって思ったときに、何かを挑戦するっていうのはすごくハードルが高いです。でも私自身が女性として大きな大会を開くということをきっかけに、植木さんもこんなことやっているから、今年は私も違ったことに挑戦してみようかな、来年はやってみようかなとか、そういうきっかけになったら嬉しい」
そんな植木さんの想いが細部に宿る「ROUND GIRLS 100」。給水地点のエイドステーションには、時間帯ごとに異なるドリンクやスイーツが。仮設トイレにアロマを使用し、香りのおもてなしで心を癒してもらう気配りも。夜中の寒さを考慮しストーブやブランケットの用意も。国内・海外問わず多くのレースに参加されたご自身の経験を基に、女性目線での“あったらいいな”が散りばめられています。

植木さんにとっての“天井のない生き方”
“女性が活躍する社会は、人と比べないところに尽きる”と話す植木さん。SNSの発達によって、確証の持てない情報が簡単に手に入る今、良い面とは裏腹に、それによって悩んだり苦しんだりした経験は、誰しもあるのではないでしょうか。指先から放たれる文字に宿る感情は、見る人の感情によって、いとも簡単に変化するものです。隣の友人の生活が輝いて見えて、自分の日々の彩度を疑ってしまうことも少なくありません。
アスリート・インストラクター・女性。3つの立場から植木さんは「10通りのトレーニング方法があって、楽しみも10通りある。自分が活躍できる生き方を上手に探して。」と教えてくださいました。家庭と仕事の両立、人生設計。身体の悩み。たくさんの例題が転がる中、正解のない問いを解き続けている私たちは、自分の選択した道を正解にできたとき、初めて自分に自信を持てるのではないでしょうか。
比べず、焦らず、一歩ずつ。自由で豊かであるために。このセッションを通じて感じたすべてを、私たちはこれからも伝え続けます。
トークゲスト:植木 香さん
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