ストーリー画像-使い捨てのプラスチックを減らすヒントは野外イベントにあった!
ストーリー画像-使い捨てのプラスチックを減らすヒントは野外イベントにあった!

使い捨てのプラスチックを減らすヒントは野外イベントにあった!

6月8日の「世界海の日(WORLD OCEANS DAY)」から7 月20日の「海の日」までの1か月半、KEENはプラスチックごみ問題に取り組むNPO や団体の皆さまと"HOW WILL YOU REDUCE YOUR SINGLE USE PLASTICS?”をテーマに、毎週様々なトピックをご紹介しています。

今回はロックフェスなど野外イベントの会場で環境対策活動に取り組む、NPO法人iPledge(アイプレッジ)さんにお教えいただきます。

実は低い、日本のプラスチックごみのリサイクル率

「2017年度には日本のプラごみのリサイクル率は86%*と言われ、他国に比べても高い値です。ところが実はその58%*が、プラごみの焼却熱を火力発電や温水プールなどの『エネルギーとして利用』するサーマルリサイクルで、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルといった本来の意味での『リサイクル』は28%*。また、マテリアルリサイクルの内14%*は輸出して他国でのリサイクルに頼っていましたが、現在主な受け入れ国だった中国や東南アジア各国は続々とプラごみの輸入を禁止しています。日本のリサイクルの遅れが気になります」と教えてくれたのは、iPledgeのコアスタッフとして活躍する山口記世さん。
*(一社)プラスチック循環利用協会:2017年度の統計より

写真:右側の女性が、山口記世さん。

 


“ごみゼロナビゲーション”から見える「楽しむことで世界は変えられる」

この状況の中、今、ロックフェスなどの野外イベントでごみゼロをめざす動きが活発です。とくに山口さんが所属するiPledgeのプロジェクト〝ごみゼロナビゲーション〟は、「リユース」や「リサイクル」によって、来場者参加型でイベントで出るごみを削減することを目指しています。

たとえばフジロックやサマーソニックなどのフェスに参加したことがある人は、入場ゲートでリストバンドと一緒におしゃれなデザインが描かれたごみ袋を受け取ったことがあるはずです。

このごみ袋は、前年の会場で回収したペットボトルをリサイクルしたもので、これもiPledgeの〝ごみゼロナビゲーション〟の取り組みの一つです。

このごみ袋を手に会場を歩いていくと、あちこちにポップなイラストが描かれた大きなごみ分別ブースがあります。一見するとアパレルブースのようなこのコーナーが、iPledgeのボランティアスタッフの活動場所。ごみ袋に入れたごみやペットボトルを捨てにやってくるお客さんひとりに、分別についてアドバイスしています。

「ごみを捨てる人がいてボランティアがそれを拾うというカタチではないんです」と山口さん。「分別の仕方をナビゲートして、参加者が自分のごみを自分で分別するスタイルを目指しています。〝自分のできることで会場がきれいになるんだ、自分が分別すればリサイクルされてまた自分の手元に戻ってくるんだ〟と意識を変えることから、自分が動けば社会を変えられる、ということにも気づいてほしいんです」。

では、“ごみゼロナビゲーション”でのの取り組みはどういった内容なのでしょう?

■徹底した分別とリサイクル!

参加者が分別したごみは、こんな風にリサイクルされます。

1:ペットボトルは、来年のごみ袋に
会場で回収されたペットボトルの本体は、来年、入場ゲートで配布するごみ袋にリサイクル。ペットボトルのキャップはベンチにリサイクルされます。

2:紙コップは、トイレット・ペーパーに
紙コップは、来年の仮設トイレで使うトイレット・ペーパーにリサイクルします。

3:割り箸は建築資材に
会場内での食事に使われる割り箸、竹串、木製カトラリーは建築資材に生まれ変わります。

■リデュースとリユースを推進!

リデュース(ゴミ削減)とリユース(再利用)にも力を入れています。「まず会場に来る人に、マイ食器やマイ箸、マイボトルを持ってきてと呼びかけています。加えて、お皿やコップをイベントの中で洗って繰り返し使えるように、リユースカップ・リユース食器を導入。食べ終えた食器は汚れを拭いてもらってから回収して洗浄します。そのあと熱湯に入れて煮沸殺菌して、そのエリアにいる人にしか触らせないように衛生管理を徹底しています。使い捨て食器を使用するイベントでも、プラスチック容器ではなく、例えば廃棄されていたサトウキビの搾りかすを原料にしたパルプモールドという紙食器を使ってもらうように提案したりもしています」と山口さん。

来場者が楽しむことが、“ごみゼロ”への第一歩。

そして、もう1つフェスやイベントでこの活動を行う意義があるといいます。「開放的で楽しい気持ちの中、来場者一人ひとりに参加してもらうことで、その楽しいテンションのまま活動に参加してもらうことができます。ともすると分別は嫌な作業ですが、楽しい気持ちだから楽しく参加してもらえる。さらに良いことに、参加者に『より良いイベントを作り上げる一員なんだ』という意識が芽生えてくるんです。そのポジティブなパワーは強くって。楽しみながら行った活動は、実生活でもふとした気づきに繋がったりしていくと信じています」。

KEENもiPledgeとともに、〝ごみゼロナビゲーション〟に参加。

KEENも、会場のクリーンさをキープするためにできることをと、Fuji RockでのiPledgeとのコラボレーションを2018年からスタート。一昨年は〝ごみゼロナビゲーション〟と連携したフジロック全体のマナーアップキャンペーン「OSAHO」のワークショップを実施。昨年は、回収したペットボトルが集まるiPledgeブースの隣で回収ペットボトルのアート作品を作る参加型インスタレーションに取り組みました。

身近なことから肩肘はらずに楽しむ。そこから変わっていく。

山口さんがiPledge にはじめて参加したのは2016年のこと。学生の時に街づくりに関わったことなどから、格差や社会問題を考えるようになってボラ
ンティアやNPOの活動に関わるようになりました。

「最近は若い人たちにボランティアに関心を持つ人が増えている感覚があります。とくに環境意識が高かったり、社会問題に詳しいわけではなく、大学行って、サークル入って、バイトして…私これだけでいいのかな?なにかやりたい、と言うことがきっかけです。いわゆるイマドキの女子大生が、1年後にエシカルな服やオーガニックなモノを選ぶようになっていたり、活動を通して変化していくのがわかるんです」。

気候危機にたった一人で声をあげたグレタ・トゥーンベリさんがメディアで大きく取り上げられたこともあって「同年代の高校生の間でも意識が高まっていることを感じます」と山口さん。

そうした中、ボランティアの女の子のこんな言葉が心に残っているそうです。「環境にやさしいことって、人にもやさしいんだよね」。

コロナ渦の影響で残念ながらフジロック をはじめ野外フェスやイベントは中止になっていますが、〝ごみゼロ〟アクションを広めることは身近なところでもできそうです。「ペットボトルの代わりに自分の大好きなかわいいマイボトルに変える。スーパーの使い捨てレジ袋を自分が大好きなおしゃれなエコバックに変える。好きだからおしゃれだからとポジティブに楽しんでいると、まわりも少しづつ変わっていきます。たとえば家族の誕生日プレゼントにマイボトルを贈ってみるとか、楽しんでできる機会はいっぱいありますよね」。

プラごみや気候危機の問題はついストイックに考えて、家族や友人にも「○○すべき」と強く言ってしまいがち。ところが実は、自分が楽しんでいることを見せたほうが、まわりの人を変えるチカラになっているということ。なるほど、肩肘はらずに、楽しむこと。これなら、今日からでも、できそうですね。

How will you reduce your single-use plastics? iPledgeコラボTシャツが発売中!

NPO『iPledge』とのコラボのTシャツがこの夏デビュー!素材には、リサイクルポリエステルを22%使用しています。胸には大きく“How will you reduce your single-use plastics?”(あなただったら、どうやって使い捨てのプラスチックを減らす?)と書かれたこのTシャツは、販売価格から制作費、必要経費を除いた金額全てが、iPledgeに寄付されます。ご購入はこちらから!


▼関連リンク

NPO ipledge

ごみゼロナビゲーション


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