2022年は、あなたにとってどんな年でしたか?コロナ禍の中、2月からのウクライナ紛争、円安、物価高騰と続き、困難な状況にある人々がさらに生活が困窮する状況で1年の終わりを迎えています。あらためて色々な境遇にある方に思いを馳せてみませんか。
KEENは今年も Giving Tuesday※(2022年は11月29日)を皮切りに、12月25日までGiving Monthと位置づけ、3つの取り組みを通じてみなさんと「Givingの気持ち」をシェアしています。
ACTION1:対象のシューズご購入1足につき500円をKEENが寄付します
2022年12月1日(木)〜25日(金)は、キッズシューズまたは ワークシューズを1足ご購入いただくと1足につき500円が、児童養護施設に暮らす子どもたちにアウトドア体験を提供する<みらいの森>と、全国の被災地で支援活動を続ける<OPEN JAPAN>へ寄付されます。詳細はこちら。
ACTION2:ウクライナの支援を継続します
ウクライナ支援を目的としたチャリティサンダル『ウィメンズ シャンティ アーツ LTD』の売上100%を、ウクライナ人道支援を行う団体 <Everyday Refugees Foundation> に寄付し、その活動を支えます。
ACTION3:ホームレス状態にある方々の足元をサポートします
さまざまな事情でホームレス状態にある方や生活に困窮している方の足元を支えるために、<有限会社ビッグイシュー日本>、<特定非営利活動法人 TENOHASI>、<認定NPO法人Homedoor> にKEENのトレッキングシューズなどを無償提供しています。
※Giving Tuesdayとは
家族に贈るクリスマスギフトをショッピングする機会が多い12月に「そのショッピングに使うお金や時間の一部を困難な状況にある人びとや子どもたちに」と2012年のアメリカで始まり、 今や世界中で広がりをみせているムーブメントです。
ビッグイシュー販売者の方々に、シューズを直接お渡ししました
2022年11月30日(水)に、KEENスタッフは<ビッグイシュー日本> 大阪本社と東京事務所にお邪魔し、路上で雑誌ビッグイシューを販売する全国の販売者さんに防水機能のあるトレッキングシューズなどのKEENシューズを直接お渡ししました。
販売者さんは駅前などに1日中立ち、雑誌を仕入れるビッグイシュー事務所、販売場所、寝場所の間を歩いて移動する場合が多いと聞いています。だからこそ軽くて減りが少ない頑丈なソールを持ち、防水加工が施してある温かいトレッキングシューズで足元を守ってほしいというのが、私たちの思いでした。
冬はあったかいし、丈夫で長持ち
地下鉄銀座線外苑前の路上に立つYさんは、オフィスが近いKEENスタッフとも顔なじみ。「冬はあったかいし型崩れしないし、丈夫で長持ち」とハイカットのトレッキングシューズをチョイスされました。川崎市溝の口駅前に立つCさんは「歩きやすいから」とローカットのトレッキングシューズを選ばれました。
山歩きが好きで以前からKEENのトレッキングシューズがお気に入りのSさん。KEENオフィスのある青山一丁目で販売されていたHさん。Yさんと共に世界的に高評価を得ているダンスチーム「新人Hソケリッサ」でも活躍するNさん。このみなさんをはじめお一人お一人にフィッティングをさせていただき、足に合ったシューズをお渡ししました。「軽くて歩きやすい」「減りが少なくて長持ち」「かっこいい」と笑顔で感想をいただいたことが、私たちの励みにもなっています。
みなさんのお話を伺っていると、ある共通した思いをお持ちでした。それはお客さんであるなしを問わず、人とのふれあいがうれしいということ。
「お客さんが “ありがとう”と言って缶コーヒーやホットカイロを差し入れてくれたり、通りがかりにいつも頑張ってますねと声をかけてくれる方がいらっしゃって、心があたたまります」(Yさん)と、なにげない交流がうれしいといいます。
少しでも皆さんのお役に立てたことが嬉しい。
今回、活動に参加したKEENスタッフの感想を聞きました。
「毎回KEENシューズの配布を楽しみにしているという方から実際にお話をお聞きして、とくに防水機能、履きやすさ、長持ちというKEENのトレッキングシューズの特長が役に立っていることを実感しています」(KEEN Garage Saitama のスタッフ:写真:左端)
「来ていただいて、喜んで履いていただいて、少しでも皆さんのお役に立てたことが嬉しかった。毎日履かれているので履きごこちと丈夫さが肝心なのをあらためて確認しました」(経理部のスタッフ:写真後列中央)
14年続くビッグイシューとのパートナーシップ
<ビッグイシュー日本>とKEENの出会いは2008年。不況が長引く東京にホームレス状態の方が増えていることを目にしていたKEEN社員の一人が<ビッグイシュー日本>に「何か支援できないか?」と問い合わせたところ「冬にも温かく、すぐに履きつぶれない丈夫な靴が欲しい」との希望がありました。
一日にかなりの距離を歩くのに自分で防寒の靴を買うことは難しいとお聞きして、トレッキングシューズの提供をスタート。それ以来、毎年KEEN独自開発の防水透湿素材「KEEN.DRY(キーン・ドライ)」を採用したトレッキングシューズをメインに提供を続けてきました。
2009年には、工場の余り生地を組み合わせたコラボバッグを制作し、売り上げをすべてチャリティに。音楽イベント<りんりんふぇす>」では、KEEN社員と共にチャリティ物販にチャレンジしてもらい、販売者さんの社会復帰のきっかけづくりをサポートしました。
2021年には、多様性や公正、正義、包括をテーマにした社内ワークショップで計4回にわたって「HOMELESSNESS」を取り上げ、<ビッグイシュー日本>、<TENOHASI>、<Homedoor>の方をゲストに招き、ホームレス状態の方や生活が困窮した方の現実と支援活動について伺いました。
そして新たに2団体を通じて、シューズ提供をスタートしました
これをきっかけに、昨年から<TENOHASI>、<Homedoor>にも、シューズをご提供。今回提供させていただいた靴は100足以上。それぞれの団体を通じて靴を必要とされている方にお渡しいただきました。
Homedoor
<Homedoor>からは「KEENさんが、スタッフの身長よりも高く、靴をたくさんご寄付くださいました!!!ホームレスの方々にとって靴は本当に死活問題で、歩るく人も多くすぐにつぶれてしまいます。 でもKEENさんの靴は皆さんご存知の通りめちゃ丈夫なので非常に助かっています」とお礼のメッセージが。
TENOHASI
<TENOHASI>からもさっそくご報告がありました。「定例の衣類配布会が始まると防寒着と靴のコーナーに人が集中しました。長い列に並ぶ後方の方にもKEENの靴を手に取って頂きたいので数足ずつ並べていますが、みなさん『今日はあの靴が出てる。これはいいんだよ』といって、真っ先になくなります」。寒い季節を迎えて暖を必要とされている方たちのために少しでもお役に立てていることがうれしく思います。
自分の場所と思えるホーム=家・部屋があるあたりまえを、すべての人に
出典:ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果について
さて、この表は厚労省がここ数年の全国のホームレス数を調査したものです。この調査によると人数は減っているようにみえますが、本当のところはどうなのでしょう。
「たしかにデータ上の"路上生活者"は減っているようにみえます。ただ調査は昼間に行われる場合も多い上に、路上生活をしている人のみを数えています。ネットカフェや24時間営業のお店などで夜を過ごしたり、昼間は仕事などに行って夜はどこかの路上で過ごす方がカウントされていないことが大きな課題と感じています。」と<ビッグイシュー日本>東京事務所長の佐野未来さん。
ときには氷点下にもなる冬の東京で、夜眠れる定まった住まいがない。しかも調査の詳細を見ていくと、北海道や東北といったさらに寒い地域でもホームレス状態の人たちがいます。
「安心して眠れる、自分の場所と思えるホーム=家・部屋があることが、すべての基本」と佐野さんは語ります。
おうちプロジェクト
佐野さんたち<ビッグイシュー日本>は、ホームレス状態の方の暮らしを支援する様々な取り組みを行うために<NPO法人ビッグイシュー基金>を2007年に設立。
<NPO法人ビッグイシュー基金>では、新型コロナウィルスの影響が広がる中で住まいを持たない人、失った人が賃貸住宅に入るための初期費用などをサポートする「おうちプロジェクト」を2022年8月から一年間実施するなど、生活困窮した方一人ひとりに寄り添って生活再建を支援しています。
安心して過ごせる場所をみつけ、次のステップへ
仕事があり、安心して眠れる場所を持つことができたら、次のステップは、人生を楽しみ、前向きに生きられること。社会の一員として、いろんな人達と交わり、美味しいものや楽しい時間をシェアしながら過ごせる場やコミュニティがあること。
そんな思いから、<ビッグイシュー日本>では、料理研究家の枝元なほみさんとコロナ禍の中で小さな仕事づくりとフードロス削減をつなぐ新プロジェクト「夜のパン屋さん」を2020年10月16日にスタート。2022年11月からは東京の練馬区にある「けやきの森の季楽堂」という古民家でコミュニティカフェ「夜パンB&Bカフェ」をスタートしています。
築150年の古民家「けやきの森の季楽堂」の縁側で
お茶を飲みながら。毎月第2土曜日に開催。
新年は1月10日に開催。練馬区に残る築150年の古民家「けやきの森の季楽堂」でのひととき。訪れてみてはいかがでしょう。詳しくはこちら。
私たち一人ひとりにも、できることがあります
「なにもしないことが得な日本」という本が話題です。また2021年にイギリスのチャリティー機関が実施した世界人助け指数(World Giving Index)では、「助けが必要な見知らぬ人を助けましたか」という項目で日本は125位と最下位でした。もしかしてこうした社会が「フツー」になっている?KEENはそう思いません。
これまで自分と関係のないことと思っていたホームレス問題。でも病気や事故、ハラスメントなどで仕事の機会を失くしたことをきっかけに生活が困窮することは誰にでもあリます。コロナ禍の中で、<TENOHASI>の炊き出しに並ぶ人の数は増え続けていると聞きます。なのにそれをケアするシステムが社会に十分に整っているでしょうか。
今回KEENがシューズ提供させていただいた団体の皆さんは、この現実とのギャップをなんとか埋めるためにがんばっていらっしゃいます。
「この仕事を続けているのは、自分のためでもあります。自分が困った時、助けてくれる器がなくていいの?という問いかけがきっかけでした」と佐野さん。
KEENも、そう思います。困った時はあたたかい気持ちが行き交う、そんな素敵な社会にできるはずです。自分や家族にシューズをプレゼントして、小さな寄付をする。雑誌を購入する。NPOの活動を支える。小さな一歩でいいので踏み出してみよう。Giving Monthがそのきっかけになればうれしいです。
みなさんもあったかい気持ちを届けませんか。
有限会社ビッグイシュー日本/認定NPO法人ビッグイシュー基金
ホームレスの人の仕事をつくり自立を応援する」という目的で2003年9月に設立。質の高い雑誌をつくりホームレスの人の独占販売とすることで、すぐにできる仕事をつくり、ホームレスや貧困の問題解決に挑戦。さらに、2007年に<NPO法人ビッグイシュー基金>を創設し、ホームレス当事者とともに、誰もが生きやすい社会をつくることに取り組んでいます。その活動に共感し、KEENは2008年から14年に渡り、活動をサポートさせていただいています。
➤ 有限会社ビッグイシュー日本
➤ 認定NPO法人ビッグイシュー基金
特定非営利活動法人TENOHASI
2003年設立。池袋を拠点に、孤立してホームレス状態にある人々がつながりを取り戻し、安心して生きていけるようにサポートすることを使命とする。ホームレス状態にある方に出会い、話し、一緒に考え、試行錯誤しながら、 安心できるつながりとホームを取り戻すための活動を展開。炊き出しや、夜回り、生活応援などを行う。https://tenohasi.org/
認定NPO法人Homedoor
ホームレス状態を生み出さないニホンを目指して、「HUBchari」や夜回り活動「ホムパト」、宿泊施設「アンドセンター」、カフェ「おかえりキッチン」運営等の取り組みを実施する認定NPO法人。https://www.homedoor.org/
➤ NPOみらいの森
➤ 一般社団法人OPEN JAPAN
➤ Everyday Refugees Foundation