ストーリー画像-MORE THAN A JOB. ずっと、大切にしていること
ストーリー画像-MORE THAN A JOB. ずっと、大切にしていること

MORE THAN A JOB. ずっと、大切にしていること

文:ジニー・フィグラー

KEENでの勤務初日。新たな仕事。新たなチームメイト。多くの人にとってそうであるように、私にとっても初の出勤日は興奮に満ちた1日でした。そして、勤務初日、一番印象に残ったのはその日見たパワーポイントでした。

KEENファン歴10年以上の私は、ハイキングに行く時は決まってKEENのトレイルシューズを愛用しています。しかし、勤務初日のオリエンテーションでブランドの歴史について説明を受けた時、トレイルとは別の場所でKEENが行っている多くの意義ある活動を初めて知り、帰宅したら家族や友人にそのことを伝えるのが待ちきれない気持ちでいっぱいになりました。

「KEENが創業したばかりの頃、スマトラ島沖地震や他の災害の被災者を支援するために、広告予算として用意していた100万ドルの全額を寄付したことを知っている!?当時、KEENはまだ新しい会社で、これからという時期だったのよ。簡単にできることでない。すごいことよ。」

あの日から18ヶ月が経ち、KEENが大切にする価値観のもと、常に多くの人に寄り添う姿勢や活動を見続ける中で、KEENという会社はただ良い製品を作り、アウトドアでの冒険をサポートすることだけでなく、遥かに大きなものを社会へ還元していることを肌で感じ、私自身、その活動の一部でいられることを本当に嬉しく思います。KEENの歩んできた道のりを仲間たちと振り返りながら、最も印象的だった活動、また、私よりずっと長くKEENにいる仲間たちにとって心に残る瞬間をいくつか紹介したいと思います。


救援物資を送る - 2004年の大津波から2018年の山火事まで

2004年に実施した津波被害への支援活動は、「Giving Back:社会への還元」、そして困っている人を助けるために行動を起こす「Taking Action:能動的な行動」という私たちの文化の原点を語る上で必要不可欠な事例です。KEEN社員なら誰もが知っているこのストーリー。スマトラ島沖地震のニュースが飛び込んできたのは、KEENの創業者と数人の社員が今後の広告キャンペーンについて広告代理店との打ち合わせに行く途中だったそうです。

ニュースを聞いた瞬間、彼らは自分たちの広告を出すプランを中止し、この災害の被災者とNPOパートナーたちのために全予算を回すことを決めたのです。それ以来、私たちはKEENファンのみなさまの協力や助けを借りながら、人々が最もサポートを必要としているときに、積極的に支援の手を差し伸べポジティブな変化をもたらしてきました。

例えば、2017年にハリケーン・ハービーがテキサス州ヒューストンを襲ったとき、KEENファンの皆さまからの惜しみないサポートを得ながら、マッチング・ドネーション2万5千ドルの目標額をわずか数日で達成しました。そして、私たちはその2倍にした金額を寄付することができました。2017年後半には、「ペア・ウィズ・パーパス(Pair with Purpose)」ホリデーキャンペーンを展開。皆で力を合わせ、国際人道支援NGOマーシー・コープス(Mercy Corps)のために、プエルトリコのハリケーン・マリア被災者への災害救援資金を含めた計21万2千ドルを集めることに成功しました。

「KEENの情熱的な活動を経験してきて、いついかなる場合でも、ずっとここに居たいと思わせてくれた理由は、地方(ローカル)から起こす私たちの行動の一つ一つが最終的には地球レベル(グローバル)でポジティブな影響を及ぼしていると心底感じるから。」

- デイビッド(David)


公有地を守る

KEEN本社内では伝説となっているリブモニュメンタル(Live Monumental)。この素晴らしい活動は、私自身の入社前のことでしたが、本当に参加したかった活動の一つです。2015年の夏、KEENは大きな黄色のRV車を改装し、国定記念指定の5つの公有地を保護するための署名を得るために全米を走りました。2年以上の月日を掛け旅したアメリカン・ロードトリップでは、27州、1万マイル(約16093km)の距離を走りながら5万人分の署名を集め、ワシントンD.C.では何十もの会合に出席しながら、アメリカを横断しました。それは、ボルダーホワイトクラウド・ウィルダネス(Boulder-White Clouds Wilderness)、モハビ・トレイルズ国定公園(Mojave Trails National Monument)、ゴールド・ビュート国定公園(Gold Butte National Monument)の誕生・保護への道を切り開いた(文字通り)壮大なロードトリップとなりました。

こんな面白い取り組みもしました。-「Call to Action phone booths(行動を起こすように呼びかけるための電話ボックス)」は、各地でのイベント時に設置される電話ボックスを通じ、KEENサポーター(ファン)の皆様が関心を寄せる問題を提起する機会を提供しています。- 新された電話ボックスには(私たちは改装するのがとても好きなのです)、通話スクリプトも準備されており、簡単に皆様の代表者とつながることができ、声を届けることができるという取り組みです。

「私は幸運にもリブモニュメンタルツアー(Live Monumental Tour)に参加することができました。一つの営利企業が例え少額でも資金を集め・提供することで、世の中に大きな影響を与えることができることを、身をもって経験し、KEENの一員であることをとても誇りに思います。ボルダーホワイトクラウド(Boulder White Clouds)の保護は、私たちがケチャムにいたときの出来事でしたが、KEENファンの皆さんがお祝いに駆けつけてくれたのは本当に嬉しかった。」

- ティム(Tim)


KEENシューズを世界各地で寄付

2018年には、カリフォルニア州チコ郊外で起きた山火事「キャンプ・ファイア」により避難を余儀なくされている人たちのために、何千ものKEENシューズ(合計約15,000)とTシャツや帽子を集め、寄付しました。これまでに寄付したシューズの数は詳細には記録していませんが、かなりの数になります。2008年の中国・四川大地震では15,000足を中国に、2011年の東日本大震災では13,500足のKEENシューズを日本に送りました。2020年には、10万足のシューズをコロナ禍の最前線で戦う方へ届けました。

危機や自然災害の被災者であれ、現地で手を貸すボランティアであれ、困っている人々にシューズを贈ることは、私たちができる最も身近な行動の一つです。しかし、それは常に簡単な道のりだったわけではありません。KEENのコーポレート・レスポンシビリティ・ディレクター(企業責任ディレクター)であるクリス・エンロウは、KEENでの思い出の一つをこう語ります。

「KEENは思いやりを持つ会社というだけではなく、本質的な寛容さを持っています。そのことを実感した良い例をあげます。2013年11月のある日曜日の午後、オーナーから私宛てに電話がかかってきました。『クリス、どうするんだ?台風ハイエンがフィリピンに甚大な被害をもたらした。私たちは彼らを助けなきゃいけないと思う。』

この一本の電話は、3万足の子供用シューズを配るという非常に大きなチャレンジに発展し、私たちのオペレーションチームは、他の作業を一時中断し、災害救助モードに入りました。フィリピンのアメリカ大使館と直接連絡を取り合い、社内の多くの人が腕まくりをして、この活動に臨みました。また、フィリピンの物流業者や販売代理店からも多大な支援を受けました。皆が 「一緒に頑張れば必ず出来る!(Yes we can.)」という精神でこの挑戦に挑みました。結果的に、私たちは想像以上に多くのことを学び、現地の人々も、地元の議員も、子どもたちも、このように遠く離れた異国の地にある会社が、自分たちへ助けの手を差し伸べてくれたことにとても感謝してくれたのです。
シューズは小さな贈り物でしたが、その寛大さは人々の心に深く染みました。私にとっては、これこそがKEENのすべてであり、KEENはその価値観を最も大事にしながら活動しているのです。」

- クリス(Chris)


環境負荷の低減を全ての工程で

オレゴン州ポートランドの本社に初めて足を踏み入れたとき、あるソファに「以前は車(Pinto)のシートでした」と書かれたタグが付いているのが目に留まりました。その後、本社のあちこちでこのタグを見かけるようになり、見る度に笑みがこぼれます。電線ケーブルのリールや巨大なタイヤはテーブルとして、古い観覧席は椅子として使われています。

自社製品から過フッ素化合物(PFCs)を排除するために体系的に取り組んでいること。レザーワーキンググループに認定されたタンナーから環境に好ましいレザーを調達すること。そして自然な消臭技術に切り替えることで年間7000キロの農薬が環境に放出されるのを防いでいること。様々な面で環境に配慮するKEENの取り組みを私たちは誇りに思っています。そして、私たちの日常的な生活で身の回りにあるものにまず目を向けることで、問題を本質的に解決するための一歩へとつながるのです。

「私が初めてKEENに入社したとき、『リサイクル』という言葉は知っていましたが、『リパーパス(repurpose:新たなものに作り変える)』という言葉は聞いたことがありませんでした。しかしすぐに、お金儲けや話題作りといったこととは全く関係なく、様々な製品にはまだ人生があり、それらがまた有効に活用される機会があると、KEENスタッフ皆が純粋に信じていることが、KEENが持つこの特別な理念のベースにあることに気づきました。この『新たな使い道のためにリパーパスすること(Repurpose for a Purpose)』は、誰もが直面する問題、つまり『(今の形のままでは)もう必要ない』ものをどう活用していくかという問題に対する、違った視点からのアプローチ方法として、とても印象に残りました。

その後、新しい本社を購入し、ほぼ丸1年かけて私たちの新しい家(新社屋)の改築をしました。懸命な作業の結果、建物内のほとんどのものは、リパーパス、すなわち新たな役目を与えられ再活用することができました。これほど大規模なプロジェクトは初めてでしたが、本来なら埋立てされるはずの材料の9割を再活用することに成功しました。本社ビルの中を見渡すと、いたるところで、建物内の別の部分で使われていた建材が新たな場所で使われているのがわかります。正面部分にあったセメントから掘り出された枕木、梁、電線管、配管、サイディングなど、すべてが元々あった場所から取り外され、建物内の別の場所で再活用されたのです。

「KEENのどの活動や信念をとっても、私たちは健全で責任ある社会を推進するためならどんな苦労も惜しまないことを感じていただけると思います。KEENの思いをファンと共有できることは大変嬉しく、また、私たち自身が正しいことであると信じる活動を続けられることを誇りに感じます。」

- ベン(Ben)

このようにKEENの数々の歴史や思い出を振り返りながらも、私はすでに次のことを見据えていることを認めざるを得ません。KEENが毎年与えてくれる有給ボランティアの時間を使い現地で作業を手伝うことで、今この瞬間も困っている人たちに何か変化をもたらすことができるのは、非常に幸運なことだと感じています。

KEENで勤務を開始したあの日、私が見たあのパワーポイントは嘘偽りのない真実でした。