あと、7年足らず?Z世代のアクティビストが気候危機のタイムリミットを示す気候時計を設置
あと、7年足らず?Z世代のアクティビストが気候危機のタイムリミットを示す気候時計を設置

あと、7年足らず?Z世代のアクティビストが気候危機のタイムリミットを示す気候時計を設置

この時計が何かわかりますか?普通の時計とはどこか違う。

Photo:Daiki Tateyama


それもそのはず。「Climate Clock(気候時計)」というこの時計は、地球の平均気温が産業革命以前から「1.5度上昇」するまでのタイムリミットをカウントしています。2020年9月にニューヨークで最初に設置され、グラスゴー、ニューヨーク、ソウルなどに大規模なものが設置されています。

Climate Clock World Webサイトより


「1.5度上昇」は温暖化が人と地球に深刻な影響をもたらしだす「境界」。国連のグテーレス事務総長も「人類への警鐘」と強調するなど、1.5度以下の上昇に収めることが世界の目標です。

こうしている間にもタイムリミットは迫っていて、今この時点で、残り7年と少ししかありません。(今日時点のタイムリミットはこちら


気候変動を、日本の現状を、なんとかしたい!

ここまで差し迫っている気候危機も、日本で暮らしていると、どこか他人事に思えます。そこで、このClimate Clockを街のなかに設置して気候危機へのみんなの意識を高めようと、クラウドファンディングが、2021年末に、Z世代を中心とする気候変動アクティビスト集団a(n)action (アナクション)によって立ち上がりました。


日本では政治・企業に対して声を上げる人が圧倒的に少なく、私たちはまだまだ「意識高い」と揶揄されてしまうほど仲間が少ない状況です。

 

気候変動を、日本の現状を「なんとかしたい!!!!」

そんな思いから私たちは、渋谷に「Climate Clock」を設置することにしました!

- クラウドファンディング:気候変動アクションを当たり前に!渋谷に気候時計を置きたい!本文より


このクラウドファンディングは目標金額1,000万円に対して1,353万円以上が集まり大成功。主催したのは、Friday for futureのサカイ イサオさんはじめ、全員が18歳から21歳までという、まさにZ世代の4人がはじめたa(n)action(アナクション)です。


見るだけじゃなく、アクションにつながる時計を渋谷のあちこちに

ClimareClockについているQRコードにスマホを向けると「政府に気候変動対策の加速を求める」アクションにワンタップで参加できます。1万タップを超える毎に環境省にお知らせが行き、政府にプレッシャーをかけられます。

さっそく渋谷ハチ公前広場の「SHIBU HACHI BOX」の観光案内所に、1台目が設置されました。今後は渋谷区役所や、区内の文化施設のレストルーム、商業施設のエレベーター、商店のレジなど、100カ所に設置される予定だそうです。


Climate Clock設置記念アースデイトークセッション・レポート

Photo:Daiki Tateyama


4月22日(土)、「アースデイ東京サステナブルファッションウィーク2022」の会場であるMIYASHITA PARKで、Climate Clock設置を記念した「気候変動 7年後の未来を考える」トークセッションが開かれ、KEENスタッフも会場に足を運びました。

登壇者は、若い世代の政治参加を促すNO YOUTH NO JAPANの能條桃子さん。以前FEEL GOOD TVにも出演していただいたSustainable Japan編集長で、ESG投資の日本の第一人者の夫馬賢治さん。アーティストで社会課題へのコミットを日々考えていらっしゃるコムアイさん。a(n)actionからは黒部睦さんが参加されました。

アメリカに留学中のサカイ イサオさんからも「あと7年というタイムスケールで自分たちの社会をどう変えていけるのかを考える良い機会ではないかと思っています。」とメッセージ。

a(n)action・Climate Clockプロジェクトの中心人物でもある サカイ イサオさん


ゲストの元環境大臣、小泉進次郎さんからは「ワンタップメッセージの行き先は環境省だけでなく経産省含めあらゆる省庁に送る改善版をぜひ」との一言も。

元環境大臣、小泉進次郎さんからもメッセージが
Photo:Daiki Tateyama


気候危機への意識変化は、今どの辺まできたんだろう?

政府が「2050年にカーボンニュートラルを」と宣言してから、日本もようやく気候危機への関心が高まってきたと言われます。社会課題と向き合う登壇者のみなさんも、その変化を感じていらっしゃるようでした。

NO YOUTH NO JAPAN 代表理事 能條桃子さん(左)と、Neural 代表取締役 夫馬賢治さん(右)
Photo:Daiki Tateyama


能條さん:デンマーク留学時代に、気候変動が選挙のいちばんの争点だったことに驚きました。日本はほんとに遅れているけど、最近は高校生にどんな社会課題に興味があるかを聞くと絶対に気候変動や環境問題が返ってくるようになってきてました。

コムアイさん:この数年で発信しやすくなっていますね。気候危機のプライオリティーが上がってきていて、 “ いよいよやばい ” と伝える時も、聞いてくれる感じがすごく伝わってきます。

アーティストのコムアイさん(左)と
モデレーターを務めたa(n)action・Climate Clockプロジェクト 黒部睦さん(右)
Photo:Daiki Tateyama


夫馬さん:僕は経済と金融の観点から、気候変動に関する話を企業の取締役や政府の人に話す機会が多いんですが、以前と比べると関心は高まったし、動きはある。だけど、7年後、日本って大丈夫かな?と心配になっていることも事実です。このままでいくと、(気候変動が原因で)雇用の場がなくなる可能性があって、大停電が頻発するような危機もせまっています。政治家も一般の人もまだ一部の人しか、この危機に関心がない。もっと多くの人がこの危機について関心をもち、声に出して行かないといけないし、政治や世の中を動かせるかどうかが、7年度僕たちが幸せになっているかどうかに影響してくるとおもいます。


気候危機を、より多くの人が自分ゴトにしていくには?

能條さん:気候変動を自分ゴトにするには、地域に学びの場が増えたり、労働時間が減ったり、ジェンダー平等を実現したりといったことがあることが大事。高齢男性が占める意思決定の構図を変えて、他の問題もより解決しやすくなる土壌を作る契機になればいい」と、世代交代と意識のアップデートを訴えられました。

夫馬さん:日本企業にお話を聞くと、"日本は横並び意識が強いのでウチだけやるわけにいかない。みんな横並びで言えるように空気を作って" と言われる。" 気候変動対策は経済の足かせ" と2年後には誰も言わない状態にまで持っていかないと。そのためにも、皆さんにお願いしたいことは、"もっと職場で話をすること" 。今までは話しにくい雰囲気があったかもしれませんが、実は会社もそんな人を欲しがっています。今まで変わり者と言われていた人が、いてくれて良かったという存在になる」と、ビジネス環境の変化を促します。

コムアイさん:インドの田舎町に滞在していた時があって、炭火アイロンとか、電気すら使わない代替品がたくさんあった。街を歩くだけでみんな話しかけてくれて、他人同士がゆるくつながる安心感があった。こうした幸福度がとても大切。日本にもあったはずの、戻るべきことがいっぱいあると思う。気候変動も、愛をもって相手を気遣う気持ちも、同じぐらい大切なこと。

小さなきっかけがみんなの共感をあつめ、徐々に広がっていく。これまでも社会はこうして変わってきたというのが、みなさんの共通した思いです。


あきらめなければ道は拓く、私たちにできること

気候危機をあきらめる理由はなにもありません。Climate Clockは、まちで遊びながらでも、政府にアクションを促す気持ちをカンタンに伝えられる、とても便利なツールです。

KEENは、Friday for future 、a(n)actionをはじめ気候危機アクティビストのみんなの活動を、微力ではあるけれどサポートしてきました。これからもこの姿勢が変わることはありません。小さいことだけど、みんなでやれば、大きなチカラになります。みなさんも、できることをはじめてみませんか?

まずはClimate Clockを探しに、渋谷にでかけることから。


関連リンク

ClimateClock Japan

クラウドファンディング 気候変動アクションを当たり前に!渋谷に気候時計を置きたい!

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