Photo by Colin Arisman
アラスカのトンガス国有林は、アメリカ合衆国48州の他の森林とは異なり、まるで古代の森の中を歩いているような感覚に陥る、悠久の原生林です。樹齢1,000年の木が根を張り、年間110インチ（2,800mm)の雨が降り注ぐエメラルド色のゆりかごの中には、シトカトウヒ、サケ、アザラシ、オオカミ、グリズリーが暮らしています。そして、その神秘的な森は、そこに育つ木々よりもはるかに古い1万年以上も前から、アラスカ先住民によって守られてきました。
ほんの数十年前を振り返ってみると、多くの人は、原生林といえば、暗くて腐りかけていて、チェーンソーで切り開き、木を魔法のようにお金に変えるのに最適な場所だと誤解していました。最近になってようやく、科学も一般的な認識も、原生林は“森の富の最高の所有者である”という先住民の長年の認識に追いついてきましたが、それはボードフィート※1で測れるようなものではありません。原生林は、空気や水をきれいにし、癒しやレクリエーションのためのフィールドを提供し、なによりもたくさんの炭素を蓄え、生物多様性の保護に欠かせない存在なのです。
※1：ボードフィート(board-feet)は、アメリカ合衆国とカナダで用いられる木材の体積を表す単位
Photo by Colin Arisman
2001年、アメリカ政府の土地管理者や先住民部族の関係者が何年もかけて科学的に検討した結果、米国森林局はロードレスエリア＝無道区域保全ルール（以下ロードレス・ルール）を採択。それまで比較的手つかずだった数百万エーカーの公有林を、皆伐や資源採掘などの新しい開発から守ることに成功しました。
このルールで保護される最も広いエリアのひとつが、1,700万エーカーも広がるトンガス国有林です。 トンガス国有林は、1970年代以降、その50％が伐採されたにもかかわらず、地球上で最も大きな温帯雨林としての地位を保ち続けています。また陸上生態系の中で、1エーカーあたりの炭素密度が最も高く（アマゾンの4倍！）、アメリカ大陸に残された最後の「気候の聖域」と呼ばれています。またアメリカ西海岸の商業サケ漁の4分の1以上が生息していることからアメリカの「サーモン・フォレスト」と呼ばれ、地球上で最も重要かつ絶滅の危機に瀕している生態系のひとつとされている希少なエリアです。
ところが残念なことに、20年間の保護活動の成功にもかかわらず、昨年トランプ政権はトンガス国有林をロードレス・ルールから除外しました。この決定は、残されたかけがえのない生態系を壊滅させるだけでなく、地域社会やアメリカの納税者にとって経済的損失となる大規模な木材伐採の脅威を生み出すことになりました。繰り返しますが、アメリカ国民はこの神聖な場所が破壊されることで、文字通り経済的な損失を被ることになるのです。
世界は長い間、原生林を保護の対象としてきませんでした。しかし、地球環境保護が叫ばれ出した1980年代からは、草の根の環境活動家や著名な文化人たちが熱帯雨林を守るために声を上げ、活動の輪を広げていました。
グレイトフル・デッドのギタリストであり、20世紀を代表するアメリカのミュージシャンであるジェリー・ガルシアもその代表的な一人でした。彼は、環境保護への強い思いから、88年9月24日の国連レインフォレスト・ベネフィット・コンサートに参加。その後、熱帯雨林保護の必要性を訴えるベネフィット・アルバムやアート作品を発表しました。
そして今回、ジェリー・ガルシア・ファミリーと環境保護団体ウィルダネス・ソサエティとのパートナーシップにより、KEENは4/22/21のアースデイにトンガス国有林保護のためのベネフィット・コンサートを開催します。音楽のジャンルを超えた最大20バンドがオリジナルのパフォーマンスを披露し、多くの人々にトンガス国有林保護を訴えます。新たに提案された法律（ロードレス・ルール保全法）と共にホワイトハウスの新政権に対して、今こそ行動を起こす時です。
また4月20日に新しく限定発売されるKEEN × Garciaコレクションは、ジェリー・ガルシアが熱帯雨林の美しさとそこで暮らす先住民の文化に敬意を表して1993年に描いたアート作品「Junglescape」をモチーフとしたシリアルナンバー入りのNewportです。 売上の1％はウィルダネス・ソサエティに寄付され、この希少な温帯雨林にロードレス・ルールを再度適用させる活動に生かされます。
＜US市民の皆さま＞トンガス国有林を守るための先住民族コミュニティの活動に賛同し、アメリカ合衆国のバイデン大統領にこの原生林を保護し、ロードレス・ルールを永続的に適用するように訴えましょう。ここをクリックして、あなたの声を届け、嘆願書に署名してください。
地球上で最も重要な気候保護区のひとつであるトンガスを守り、きれいな空気と水、レクリエーション、野生生物、そして大量に蓄えられた炭素を守ることができます。
Photo by Colin Arisman
